流浪の月

 今日は最近読んだ本の話

凪良ゆうさんの「流浪の月」、2020年本屋大賞受賞作です。直木賞本屋大賞は面白い作品が多いので読むようにしているのですが、流浪の月も面白かったです😀面白いという表現が正しいかは分かりませんが、読み終わってすぐにもう一度読みたいと思える物語でした。私は小説はゆっくり読む派です。早く読み終わってしまうと、なんかさみしいんですよね😅なので数ヶ月かけて一つの物語を読む事も珍しくないのですが、この物語は数日で読んでしまいました。

物語の序盤は、あまり好きな話じゃないかなと思っていたのですが、中盤から終盤はかなり引き込まれました。私は恋愛小説が意外と好きなのです。この物語を恋愛小説と呼んでいいかどうか分かりませんが、読み終わった後はハッピーエンドの恋愛小説を読んだ後のような気持ちになれました。

詳しい話の内容は省きますが、この物語の軸は「他者に理解されない苦しさ」と「自分の居場所を与えてくる他者の必要性」ではないかと私は感じました。

他者に理解されない苦しさとして、「せっかくの善意を、私は捨てていく。そんなものでは、わたしはかけらも救われない。」という描写があります。これは、本の帯にも書かれているフレーズなのですが、私もこの物語を表すフレーズとしてはこれかなと思いました。善意は向ける相手を思っての行動のはずなのに、相手の事を理解していないと、なんの助けにもならない。下手をしたら相手を傷つけることにもなる。結局、相手を救いたければ相手をしっかり理解するしかない。しかし、それはすごく難しい事。この物語を読んでいるとそう感じさせられます。

自分の居場所を与えてくれる他者の必要性については「ひとりのほうがずっと楽に生きられる。それでも、やっぱりひとりは怖い。」という描写に表れているのではないでしょうか。他人と関わる事にはリスクがある。でも、ひとりで生きていくのも辛い。生きていくには自分に居場所を与えてくれる他人の存在が必要不可欠なのです。

物語に登場する二人は、他者に理解されない苦しみを抱えて生きていますが、お互いに相手にとって必要不可欠の存在になっている。それは、一般的な恋人関係とは違う関係性ではあるが、私から見ても二人の関係性に羨ましさを感じます。

この二人がなんの弊害もなく普通に暮らしているだけの、ただの日常がダラダラと描かれた物語でも私は多分読み続けると思います。物語では、二人に辛い事が度々起こりますが。

この二人に魅力があるという表現では語弊がありますが、私はこの二人の事が気に入ったんでしょうね。